女性たちのための既製服

2011.06.21

すでに明治期の段階で、日本の通信販売は「都市から地方へ型」じゃ成功しないよと喝破した人はいたんだね。吉本隆明さんがつくったキーワードに、「必需消費」と「選択消費」がある『大情況論』弓立社・92年刊)。前者は毎日の生活がつつがなく維持されるために欠かせない消費で、後者はおカネの余裕ができたからそろそろ新しいモデルに買い替えてみるか、あるいは『ルームランナー』でも買ってみるか、みたいな自分の意志次第でどうにでもなる消費。このキイワードを借用すれば、アメリカの通信販売は必需消費を軸として普及していった、わが国の通信販売は選択消費によって普及していった、というふうに言ってもいいだろう。選択消費の割合が増えるのに比例して、わが国の通信販売は成長していったわけである。選択消費の割合が増えていく社会を消費社会と言い直すと、通信販売は消費社会の到来によって初めて認知されたことになる。そして、消費社会がまず消費した商品は、高度成長によって大量に社会に進出してきた若い女性たちのための既製服だった。