モンテーニュの教育論の中心的課題は、何といっても「判断力の育成」と「徳性の涵養」である。まず、彼は、「判断力」をきわめて重視し、「知識」そのものよりも重要だと考えている。つまり、彼にとっては、知識も判断力もともに必要であり、そろっていなければならないが、究極的には、判断力は知識がなくてもすむが、知識は判断力を伴わないと「危険な剣」になってしまう。どんな知識も、判断力のないものが身に付けたら、有害で危険でさえある。さらに、人が賢明な判断をするためには、その人の「徳性の涵養」がなされていなければならない。善し悪しの判断は、徳性を身に付けていなければ、なされ得ないのである。その限りでは、判断力にとって、徳性は不可欠であり、その前提となる。したがって、彼の場合は、判断力と徳性の涵養は、表裏一体の関係にあり、むしろ彼が主張する優れた判断力には、徳性が包含されているのである。そして、このような判断力を身に付けることはきわめて困難であるため、モンテーニュは、子どもの頃からそれを育成すべきだと考える。彼によると、教育の目的そのものが、知識を多く授けることよりも、判断力を育成することでなければならないのである。子どもに対する教育は、単なる物知りではなく、立派な判断力を身に付けた有能な人物の育成を目指すべきなのである。
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