急性前骨髄性白血病の四十一歳の女性

2012.02.08

私が内科に勤めていた時、急性前骨髄性白血病の四十一歳の女性が、入ってきました。家族は、同い年の夫と五歳の一人息子。幸い不妊の期間を経て生まれた子供だったそうですから、望みのお子さんを得て、ご夫婦は本当に幸せな日々を過ごしていたのでしょう。入院時彼女には、自覚症状は皆無。受診のきっかけは、職場の検診で血液データの異常を指摘されたことでした。最新のデータでは、白血球は異常な増加を示し、明らかに白血病の所見を示していました。そして、この時すでに血小板が極限まで下がり、いつどこから出血しても不思議ではない状況になっていたのです。「すぐに血小板を入れる(輸血する)から、病棟に上がったら、準備しといて。それから、とりあえず絶対安静。どこから出ても(出血しても)不思議じゃないからね」外来から電話で、病棟での受け入れを指示する主治医の声も、非常に緊迫していました。しかし、当の本人は、急な入院の指示がなぜだか合点がいかなかったのでしょう。